図書館豆知識 57

質問

大社町にあった芝居小屋「お国座」ではどんな公演をしていたのか、知りたい。

回答

「お国座」は、大正13年(1924)神門通り沿いに建立され、上方歌舞伎、糸操り人形、活動写真など様々な娯楽興行が行われていました。

町内の愛好家による人形浄瑠璃は、義太夫に合わせて生き生きと演じられ、観客はその熱演ぶりに酔いしれたといいます。使われていた糸操り人形は、杵築人形と呼ばれる古形式のもの、そして、益田の人形座から譲り受けた人形でした。
また、残されている浄瑠璃台本から、「傾城阿波の鳴門」「伽羅先代萩」「妹背山婦女庭訓」「絵本太功記」「菅原伝授手習鑑」「義経千本桜」といった演目が上演されていたことが分かっています。

「お国座」の建立と同年、杵築村の浜の四つ角にも、有志によって「中村お国座」が建てられました。「中村お国座」でも上方歌舞伎が上演されたほか、地元の青年団や旅役者の公演でにぎわいました。
昭和初期に来た女歌舞伎役者・嵐八千代が「勧進帳」の弁慶を演じ、花道で六方を踏む姿は印象的であったようです。

東に「お国座」西に「中村お国座」、二つのお国座で町は活気にあふれていました。しかし、第二次世界大戦にともない、興行は中止を余儀なくされました。

参考文献

『大社町』中巻・下巻(大社町 発行)
『出雲大社と阿国さんのまちから』(山陰中央新報社 発行)
『写真は語る 大社の百年』(大社町教育委員会 発行)
『大社の史話』第115号、第135号、第137号、第184号(大社史話会 発行)

 

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