2024年12月10日
/ 最終更新日 : 2024年12月9日
図書館豆知識 51
質問 |
全国各地に点在する皿屋敷伝説について調べている。出雲市にも同様の伝説があるか知りたい。
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回答 |
皿屋敷とは、夜、お菊の亡霊が井戸で「いちまーい、にまーい・・・」と皿を数える情景が知られている怪談話の総称で、日本各地に似たような話があるようです。懇談ものの「番町皿屋敷」もその一つです。出雲市平田地域にも次の話が伝わっています。
「皿地蔵堂」
昔、平田の東福町に河原某という長者がいて、尼子氏から借り受けた貴重な南京皿10枚を、小間使いの娘に保管させていました。ある晩、尼子氏の家来が泊まりに来た時、その娘に想いを寄せましたが、娘は言うことを聞きませんでした。怒った家来は下男に南京皿を1枚割らせたうえで、主人に皿を見せるよう求めました。皿を数えると10枚目の皿が割れていたため、激怒した主人は娘を責め、娘は堀に身を投げました。その後、夜な夜な皿を数えて泣く娘の亡霊が出るようになり、彼女の霊を慰めるためにお堂が建てられました。東福町牧戸の県道沿いに建てられたお堂は、今も皿地蔵堂と呼ばれお参りされています。
「御経松(おきょうまつ)」
昔、東福町茅原の奥、本庄との境あたりに大きな松があり、この松にも次のような話が伝えられています。
大松の近くに茅原という豪農がいて、この家にも伝来の皿がありました。ある日、下女が20枚ある皿の1枚を割ってしまい、主人はそのことで度々下女を責め、思いあまった下女は松の枝で首を吊りました。それ以降、不思議なことが続き、奇特な人が下女の霊を慰めようと法華経を松の根深くに埋めたため、この松は御経松と呼ばれるようになりました。その後、木挽がこの松を切ろうと、鋸の歯を入れると、血のような液を吹き出し、木挽は高熱を出し死んでしまったということです。
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参考文献 |
『ふるさと久多美再発見の旅』(久多見再発見の会 発行)
『久多見村誌』(久多見村尋常高等小学校 発行)
『ひらたしのむかしばなし』(平田市老人のための明るいまち推進協議会 発行)
『日本伝説大系』(みずうみ書房 発行)
『平田市大事典』(平田市役所総務民生部総務課 発行)
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