図書館豆知識 28

質問(1)

出雲に関わるもので、婚礼などの晴れの日に使える縁起の良い形やマークが知りたい。

回答

「筒描(つつがき)」という手法が広く用いられた出雲地方の藍染では、「鶴亀」「松竹梅」などの吉祥文様をはじめ、説話や動植物を文様化したものを描かれているのが特徴の一つです。

婚礼のための夜具や風呂敷などの文様には「鳳凰」や「松竹梅」のほかに、「家紋」が描き込まれることもありました。また、出雲地方の平野部では婚約が調うと、婿方は二重丸、嫁方は雪輪などを描いた風呂敷をつくりました。

参考文献

『中国の祝事 誕生・婚姻・年祝』(明玄書房 発行)
『染めと織り』(斐川町教育委員会 発行)
『井筒屋染工場(浅尾染物店)藍染め関連資料目録』(出雲市教育委員会 発行)
『山陰 藍の染めと織り』(出雲文化伝承館 発行

 

質問(2)

万葉集に収められている和歌「新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事(よごと)」について知りたい。

回答

この和歌は、万葉集全二十巻の最後に収められている大伴家持が42歳の時に詠んだ歌です。
詞書に「三年春正月一日に、因幡国の庁にして、饗(あへ)を国郡の司等に賜う宴の歌一首」とあるように、因幡国(鳥取県東部)の国守として赴任した家持が正月に赴任先の役人たちをもてなした時に詠んだものです。
正月の大雪は豊年の吉兆であり、「新しい年の初め、この初春の、今日降る雪のように、良き事も次々に積もるが良い」と豊年を祈る家持の思いを表現しています。

参考文献

『私の万葉集 五』(講談社 発行)
『万葉集入門』(講談社 発行)
『新日本古典文学大系 4』(岩波書店 発行)
『日本古典文学全集5 萬葉集四』(小学館 発行)
『新潮日本古典集成 萬葉集五』(新潮社 発行)

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