今年の干支はうさぎ。子どもにうさぎが登場する物語を紹介したいが、おすすめの本はあるか。

子どもの年齢に応じた、読んでほしい本を紹介します。

●幼児向け
『うさぎの家』
　　エフゲニー・M・ラチョフ／絵　まきのはらようこ／監訳　カランダーシ／刊
　あるところにきつねとうさぎが住んでいました。
　きつねは、氷でつくった家に住み、うさぎは木の皮で作った家に住んでいました。きつねはうさぎをばかにしていましたが、春がきて、氷の家はとけてしまいました。きつねは、うさぎの家に強引に入ろうとしました。犬やオオカミはうさぎを助けようとしますが、うまくいくでしょうか。
『きんのたまごのほん』
　　マーガレット・ワイズ・ブラウン／作　レナード・ワイスガード／絵
　　わたなべしげお／訳　童話館出版／刊
　昔、一匹の小さいおすのうさぎがいました。うさぎはひとりぼっちでした。ある日、うさぎはたまごを見つけました。その中で、何かが動いている音が聞えます。うさぎは気になってたまりません。足でたまごを押したり木の実をぶつけたり。さて、たまごから生まれた生きものは・・・。

●小学１、２年生向け
『くしゃみおじさん』
　　オエガ・カブラル／作　小宮　由／訳　山村浩二／絵　岩波書店／刊
　ある家の裏庭に、白いうさぎと、黒いねこと、大きな犬がいました。そこへ、古い荷馬車が通りかかります。その時、荷馬車に乗っていたおじさんが大きなくしゃみをしました。すると、ふしぎ、ふしぎ！うさぎの、白くて長い耳はねこに、ねこの黒い耳はうさぎにくっついていました。うさぎはもとの耳に戻れるのでしょうか。
『チム・ラビットのぼうけん』
　　A・アトリー／作　石井桃子／訳　中川宗弥／画　童心社／刊
　チムは、くさかり場ではさみを見つけました。お父さんから、レタスやラベンダー、何でも切れると聞いたチムは、毛布をチョキチョキ、テーブルかけをチョキチョキ。そして、最後に自分の背中の毛もチョキチョキ。床はふわふわの毛でいっぱいになりました（チム・ラビットとはさみ）。
　その他、8編の短いおはなしが収められています。

●小学３、４年生向け
『ふわふわしっぽと小さな金のくつ』
　　デュ・ボウズ・ヘイワード／作　マージョリー・フラック／絵
　　羽島葉子／訳　パルコ出版／刊
　春が訪れ、命がよみがえることを意味するイースターのお祭りに、大事な役目をはたすうさぎを「イースター・バニー」といいます。いなかうさぎの小さな女の子のうさぎ「ふわふわしっぽ」は、大人になったらイースター・バニーになることを夢みていました。時は過ぎ、「ふわふわしっぽ」は21匹の赤ちゃんうさぎのお母さんになっていました。けれども、「ふわふわしっぽ」はイースター・バニーになる夢を忘れていませんでした。
『グレイ・ラビットのおはなし』
　　アリソン・アトリー／作　石井桃子、中川李枝子／訳　岩波書店／刊
　昔、野うさぎのヘアと、リスのスキレル、小さい灰色ウサギのグレイ・ラビットが、森のはずれの小さい家に住んでいました。家事のこまごましたことは、グレイ・ラビットがしていました。ある日、牛乳屋のハリネズミや、郵便屋のコマドリが、歯のとんがった、とてもでっかいイタチが近くの森に越してきたことを伝えます。動物たちの生き生きとした冒険、4編が収められています。

●小学５、６年生向け
『うさぎ屋のひみつ』
　　安房直子／作　南塚直子／画　岩崎書店／刊
　キャベツ畑のとなりの小さな家に、若い奥さんがいました。この奥さんは、いつもためいきをつきながら「今夜のおかずは、なににしよう」とつぶやいていました。ある夕方、「奥さん、今夜の夕食、おとどけしますよ」の声。びっくりして窓から首を出すと、うさぎが一匹、白いデニムのエプロンをして立っていました。奥さんは、自分のブローチを渡して、ロール・キャベツを作ってもらいました。
『不思議の国のアリス』
　　ルイス・キャロル／作　脇明子／訳　岩波書店／刊
　土手の上、アリスはお姉さんのそばにすわっていましたが、白いウサギが大慌てで走っていくのを目にします。アリスはウサギを追って穴の中にゆっくりと落ちていきます。落ちながら、本棚に目をやったりビンを取ったり。それは不思議な冒険の始まりでした。
　この物語は、作者のルイス・キャロルが、子どもたちに即興で語ったお話から偶然に生まれた作品、と言われています。（脇明子、訳者あとがきより）