図書館豆知識 7

 

質問 昔、多伎町久村に陶芸があり、伊万里焼の流れを汲んでいると聞きました。どのような陶器なのでしょうか。
回答

 江戸時代後期、文政3年(1820年)頃、長澤山唐津屋谷に久村の3名が窯を築き、「久村焼」の銘を入れた陶器を焼いていました。これが「久村焼」で、「長澤焼」とも呼ばれています。
 文政末(1830年)頃、伊万里焼の流れを汲んだ陶工、木村甚兵衛(きむらじんべえ)が職工長として指導にあたり、藍の染付磁器を製造することになりました。
   この磁器は、乳灰色を帯びた白い磁体に呉須(ごす)というコバルトブルーの染料で絵付けをしています。絵付けは主に山水画で、皿や椀、花瓶、徳利、手あぶり(手をあぶるための小型の火鉢)などがあります。甚兵衛は山水画が得意で、甚兵衛が絵付けをした上物は「長沢山木村製」と銘が入れてあるそうです。
 後に松江藩藩営の窯となり、立派な作品が産出され、高い評価を受けました。この窯は天保7年(1836年)に閉鎖され、八束郡意東村に移管され、弘化元年(1844年)に廃窯となったそうです。窯跡は昭和34年(1959年)に県指定史跡となり保存されています。

参考文献

『木村甚兵衛と久村(邑)焼』(木村甚兵衛の墓石と顕彰石碑の移転建立を推進する会 発行)
『久村の歴史』(久村築連合自治会 発行)

 

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